「そろそろ頼んどくか」── 発注の判断が担当者の勘と経験になっている会社は多い。勘は優秀です。でも勘には2つの弱点があります。休むこと (担当者が不在だと発注が止まる・遅れる) と、怖がること (欠品が怖くて多めに頼む) です。
結果、棚には「いつか使うはず」の在庫が眠り、それでも欠品は起きる。この記事では、勘の発注から抜け出す現実的なステップを、小さい順に解説します。
先に結論: いきなり「AI需要予測」はやらない
「需要予測AI」は魅力的な言葉ですが、中小製造業でいきなり入れると高確率で失敗します。理由は単純で、予測の元になる出入庫データが正確に取れていないからです。データが勘で記録されている状態で予測だけAI化しても、ゴミからはゴミしか出ません。
順番はこうです。
| 段階 | やること | 費用目安 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 出入庫の記録を自動化 (転記をなくし、データを正確に) | 55万円前後〜 |
| STEP 2 | 発注点の見える化 (在庫が線を切ったらアラート) | STEP1に含められる |
| STEP 3 | AI発注提案 (使用実績から発注量・タイミングを提案) | +30万円〜 |
STEP 1: データを正確にする (全ての土台)
出庫票の手書き→Excel転記をやめ、スマホ撮影やLINE一言でAIが自動記帳する形にします。詳しくはExcel在庫管理の記事に書きましたが、ここで在庫データの信頼性が初めて確保されます。この段階だけで、月の棚卸し差異と転記工数の大半が消えるので、投資としてはSTEP1単独でも成立します。
STEP 2: 発注点アラート — 「勘」を「線」にする
発注点 = リードタイム中の使用量 + 安全在庫。教科書的にはこの式ですが、実務はもっとシンプルでいい。担当者に「これ、残りいくつになったら頼む?」と品目ごとに聞いて、その数字を線にするだけで始められます。勘を線として明文化することが第一歩です。
在庫データが自動で動いているので (STEP1)、線を切ったら毎朝のレポートやLINEに「発注候補」として上がってくる。担当者が休んでも、発注判断の材料は出続けます。
STEP 3: AI発注提案 — 季節と傾向を織り込む
半年〜1年分の正確な出庫データが貯まったら、初めてAIの出番です。やることは「需要予測」というより発注の下書きです。
- 使用実績の傾向 (増加中・減少中・季節波) を踏まえた発注量の提案
- 「この品目、3ヶ月動いてません」という過剰在庫の検出
- まとめ発注で送料・単価が下がる組み合わせの提案
最終判断は人間です。AIは「理由付きの下書き」を出す係。見積もりの記事と同じ思想で、勘の良さ (例外への対応力) は残したまま、勘の弱点 (休む・怖がる) だけを消します。
効果の試算例
- 過剰在庫の圧縮: 「動いていない在庫」の検出で、棚の眠り資産が現金に戻る
- 欠品による特急手配・休日対応の減少
- 発注業務の属人リスク解消 (担当者の休暇・退職に強くなる)
- 材料高騰局面での「価格が上がる前のまとめ買い」判断の材料化
材料費が在庫として寝ている金額を一度数えてみてください。中小製造業なら数百万円分は珍しくありません。その1割が圧縮できるだけで、STEP1〜3の投資は回収できる計算になることが多いです。補助金 (国・愛知県) も使えるテーマです。
まずやること
主要材料トップ10の「現在庫 × 単価」を計算して、いくら寝ているか見る。それだけで投資判断の材料になります。合同会社AMORの30分無料診断では、御社の在庫・発注フローを聞いて、STEP1〜3のどこから始めるべきか、費用対効果と合わせてお答えします。
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