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どんぶり勘定をやめる — 町工場の原価計算をAIで「続けられる仕組み」にする方法

「正直、どの仕事が儲かってるのか分からん」── 町工場の社長から、お酒の席でよく聞く本音です。決算書で会社全体の利益は分かる。でも製品別・顧客別にどこで儲けてどこで損してるかは、勘。いわゆる、どんぶり勘定です。

先に言っておくと、これは社長の怠慢ではありません。原価計算は「正しくやろうとするほど現場の負担が増えて続かない」構造的な問題を抱えています。この記事では、その構造と、AIを使った「続けられる原価計算」の作り方を解説します。

どんぶり勘定の3つの正体

  • ① 工数が捕捉できない。材料費は伝票で分かる。外注費も分かる。捕捉できないのは人の時間です。誰がどの製品に何時間使ったか。日報に書かせようとすると現場の負担が増え、書く方も適当になり、数字が信用できなくなって、やめる。この繰り返しです
  • ② 段取り時間の按分が決められない。多品種少量の現場では、段取り替えの時間をどの製品に乗せるかで原価が大きく変わります。ここのルールが決まらず、計算のたびに数字がブレる
  • ③ 計算する人がいない。毎月Excelで集計する時間も人もいない。決算のときに税理士がまとめる数字は「全体」であって「製品別」ではない

分からないまま経営すると何が起きるか

原価が見えない状態の典型的な症状です。心当たりがないか確認してください。

症状裏で起きていること
忙しいのに利益が残らない赤字製品を一生懸命作っている
値上げ交渉で根拠が出せない「材料が上がったので」しか言えず、足元を見られる
相見積もりで安すぎる値を出してしまう儲からない仕事を自分から取りに行っている
「あの客は儲かる」が人によって違う判断基準が勘なので、営業方針が定まらない

とくに値上げ交渉は深刻です。原価の根拠資料がある会社とない会社では、交渉の通り方がまるで違います。

「正確な原価計算」を目指すと失敗する

ここで原価管理システムの導入を考える会社が多いのですが、本格的な原価管理パッケージは「現場が毎日正確に入力する」前提で設計されています。①の構造問題 (入力負担で続かない) をそのまま抱え込むので、中小の現場では高確率で形骸化します。

目指すべきは「会計的に正確な原価」ではなく、「経営判断に使える精度の原価が、現場の負担ゼロで毎月出てくる」状態です。精度7割で毎月出る数字は、精度10割で年1回の数字より100倍役に立ちます。

AIで作る「入力ゼロの原価計算」

2026年現在、現実的になっている構成です。

データ取り方現場の負担
人の時間日報をLINEで一言 (「A製品 午前」程度) → AIが工数に変換1日10秒
材料費仕入伝票・請求書をスマホ撮影 → AIが品目・金額を読み取り撮るだけ
段取り按分ルールを一度だけ決めて、AIが自動適用 (例: 段取り時間はロット数で按分)ゼロ
集計月初に製品別・顧客別の粗利一覧が自動で届くゼロ

鍵は「現場に新しい入力をさせない」こと。すでにある動作 (LINEを送る、伝票を扱う) に乗せるだけなら続きます。在庫管理の記事で書いた「転記をなくす」考え方と同じです。

最初の一歩: 1ヶ月だけ「ざっくり計測」する

いきなり仕組みを作る前に、主要製品トップ5だけ、1ヶ月ざっくり測ってください。日報の隅に「今日は主にどの製品をやったか」を書いてもらうだけでいい。それだけで「感覚と実際のズレ」が見えます。私の経験では、社長の「儲かってる」認識と実際の粗利は、トップ5のうち1〜2製品で逆転しています。

このざっくり計測の数字は、仕組み化の設計図になるだけでなく、ものづくり補助金の事業計画書にそのまま使える「現状の実測値」にもなります。

費用感

上の構成 (LINE日報 + 伝票読み取り + 月次自動集計) なら、構築55万円前後から、月のランニングは数千円〜。愛知県のDX支援補助金や国の補助金で実質負担を半分にできるテーマです。

合同会社AMORの30分無料診断では、御社の製品構成と業務フローを聞いて、「どの精度の原価計算が、いくらで作れるか」をその場でお答えします。どんぶり勘定の卒業は、思っているより簡単です。

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